世界中のストリートを席捲しているヒップホップ。これは、アメリカ発の文化が世界中に受容されていることを単に意味するものではない。
僕はインターFMのラジオ番組「ワールド・ミュージック・クルーズ」(DJ/関谷元子 Sun.9:30p.m.)という世界の音楽を紹介する番組の構成を手伝っているが、ヒップホップは今や世界各地のローカルな音楽と溶けあいながら、独自のヒップホップを世界中で生み出し続けている。
亡命ロシア人ラッパーの反戦ラップ、パレスチナやウクライナの戦火の中から悲惨な現実をラップにして発信するMCたち、政治の腐敗をラップにして選挙に勝ち大統領になったネパールのラッパー。アラスカ、モンゴル、インドネシア、インド、チベットなどの欧米以外の辺境の地でも、若者たちはラップを「抵抗」や「自己主張」の「武器」として発信し続けている。
「辺境のラッパーたち」(島村一平編、青土社)は、そんなラッパーたちによる「音楽ジャンルとしてのラップというよりも、人々の生き方としてのラップ」を描いた労作だ。
音楽は単なる快楽を生む装置としての役割だけではなく、若者たちによる時代や世界への想い、メッセージを伝える役割を担っている、かつてロック・ミュージックが世界を席捲していったように、そして今ヒップホップが世界中で叫ばれているように。(蔦文蔵)


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