ミステリーと音楽

蔦文蔵's EYE

 音楽が重要な役割を果たしているミステリーがある。そんな宗谷圭介のミステリーを2冊ご紹介。

蓄音臺灣伝」は、日本統治時代、1935年の台湾が舞台となっているが、この時代に台湾語による流行歌が初めて登場したこと、そして、政府により発売禁止となった歌が台湾で初めて誕生したことが、小説の大きな背景としてあり、その発売禁止のもととなった歌詞を書いた謎の作詞家「守真」の正体を追う形で物語は進行していく。皇民化政策により日本語を強制されていた一方で、それに対抗するように台湾語の流行歌が生まれていた日本統治時代(1895年~1945年)の、その当時の台湾語流行歌は、現在「蓄音臺灣」というCDで聴くことが出来る。(※台湾語は、今の大陸で使われている中国語とは異なる、福建省の言葉が起源とされている言語で、戦後蒋介石と共に外省人が入ってくる以前の台湾で使われていて、現在も台湾では台湾華語と呼ばれる中国語とは別に存在している)

マイ・フェイヴァリット・シングスをよろしく」は、1969年の返還前のアメリカ軍統治下の沖縄が舞台だが、映画「ザ・サウンド・オブ・ミュージック」で有名になった楽曲、ジョン・コルトレーンの演奏でも有名なスタンダード・ナンバー「マイ・フェイヴァリット・シングス」が、小説の主人公の女性の恋人であった新聞記者の死の謎を解くカギとなっている。カーメン・マクレエのアルバムやホーギー・カーマイケルの名曲「スターダスト」も謎解きの重要なカギになるなど、ジャズがミステリーの中で重要な役割を果たしている。

どちらも、台湾ポップスやジャズのファンならずとも、音楽ファンなら一読してほしいミステリーだ。(蔦文蔵)

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