anjinho

人間は推理する葦である

松本清張の登場

名探偵がパズルを解くように事件を解決していった戦前の推理小説は、戦後、松本清張の登場によって大きく変わって行った。トリックや意外性、探偵のキャラクターをフィーチャーしていたこれまでの推理小説とは趣を異にする、市井の人々(名探偵ではない刑事や...
人間は推理する葦である

名探偵登場・国内篇(2)

横溝正史が生み出した私立探偵は、金田一耕助。「早稲田あたりの下宿にごろごろしている」貧相な風貌の風采を構わぬ青年として登場。興奮するともじゃもじゃの髪の毛をかき回す癖があり、論理的な推理を得意とした。岩手県に生まれ、昭和6(1931)年、盛...
蔦文蔵's EYE

テンションと民主主義

音楽用語でハーモニーという言葉は皆よく知っているが、テンション(緊張)という言葉を知っている方は少ないように思う。ハーモニーを作り出す和声の中に、意識的に取り込まれる不協和音、9thや11thなどの音で、ブルースやジャズで使われるようになり...
人間は推理する葦である

名探偵登場・国内篇(1)

江戸川乱歩が生み出した名探偵と言えばご存じ、明智小五郎。乱歩の大正14(1925)年の短編作品「D坂の殺人事件」以降の長短編に登場してくる。初登場の「D坂の殺人事件」では、明智は煙草屋の二階の四畳半に下宿、部屋が書物で埋まる推理マニアの青年...
人間は推理する葦である

日本推理小説事始(3)

「新青年」が創刊されたのは、大正9(1920)年、おりしも黒岩涙香がこの世を去った年であった。「新青年」の初代編集長の森下雨村は愛読する探偵小説を雑誌の目玉にと考え、翻訳ミステリの掲載に力を入れたが、ある人物の出現によって、日本人による創作...
蔦文蔵's EYE

広告と情報の狭間

最近ビール会社のTVCMで、女性がビールを飲むシチュエーションがよく出て来るが、これは必ずしも世の中の風潮がそうなっているからではない筈だ。TVCMを以前作っていたこともある我が身を振り返ると、TVCMというのはメーカーの願望の映像である。...
人間は推理する葦である

日本推理小説事始(2)

黒岩涙香の翻案した海外探偵小説が新聞で人気となると、他の新聞社もこぞって探偵小説を連載し、明治20年代半ばには探偵小説のブームが起こってゆく。当時の人気出版社春陽堂が明治26(1893)年に始めた「探偵小説」シリーズは、翌27年の2月までに...
蔦文蔵's EYE

ついでに生きてる

最近思い出したようにユーチューブやCDで、古今亭志ん朝の落語をよく聴いている。そして、その面白さ、噺の完成度の高さにあらためて感心してしまう。気になって最近よく聴きに行くようになっている噺家に桃月庵白酒がいるが、時に志ん朝と比べて、寄席から...
人間は推理する葦である

日本推理小説事始(1)番外編

山田風太郎の明治もの、開化小説とも呼ばれる作品に、黒岩涙香を主人公にした短編がある。「明治バベルの塔」という作品で、萬朝報の社長である黒岩が読者数を増やすために、懸賞金を付けたカタカナ暗号文の謎解きを萬朝報に掲載するのだが、その暗号文がまき...
蔦文蔵's EYE

詰将棋とミステリ

将棋というゲームの面白さは、先の局面を読むことである。未来を推理する面白さだ。そして、その局面を読む行為を、一つの目的(連続王手をかけて王将を詰ますこと)に向かって徹底して行うのが詰将棋だ。どう指したら詰ますことが出来るのか、一手目をこう指...
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