「推理小説」を題材にした推理小説

蔦文蔵's EYE

 英仏どちらの国にも、「推理小説」を題材にした人気の推理小説がある。イギリスのアンソニー・ホロヴィッツの「カササギ殺人事件」とフランスのピエール・ルメートルの「悲しみのイレーヌ」だ。

どちらの作品も翻訳され、日本のミステリーファンにも人気の作品だが、共通点は「推理小説」がきっかけとなって、犯罪が行われていく事である。作品の具体的な内容については、ネタバレになるのであまり書けないが、どちらの作品でも主人公は「推理小説」に挑戦していく、そして「カササギ殺人事件」では主人公はその勝負に勝ち、「悲しみのイレーヌ」では、主人公はその勝負に負けてしまう。「カササギ殺人事件」では、「推理」が犯罪に勝利するのだが、「悲しみのイレーヌ」では「推理」が犯罪に負けてしまうこととなる。

推理小説は、想像力を解き放つ快楽装置なのか、それとも生きていく中で知らず知らず我々の中に沈殿していった、いわばフグの毒のようなものを確認する装置なのか、奇しくも同じように「推理小説」を題材にしながら相反するベクトルを持つこの2冊を読み比べると、いろいろ考えさせられるところがある。(蔦文蔵)

コメント

タイトルとURLをコピーしました