最近ビール会社のTVCMで、女性がビールを飲むシチュエーションがよく出て来るが、これは必ずしも世の中の風潮がそうなっているからではない筈だ。TVCMを以前作っていたこともある我が身を振り返ると、TVCMというのはメーカーの願望の映像である。男性のビール人口が横ばい、増加を見込めない、ならば女性のビール人口を増やしたい。そのためには、今の若い女性たちがすすんでビールを飲んでいるように見えるシチュエーションを見せて、さあ、視聴者の若い女性の皆さん、あなたもこういった世の流れに乗って下さい、と訴えるようなCMを作ろう、というのが恐らく制作者側の意図なのだろう。そして、このTVCMが繰り返し繰り返し流されていくことで、女性たちの意識がCM制作者側の意図する方向に変化して行き、やがてこれが現実となって行く可能性が出て来る。最近TVCMを見ていると、ふと思う事がある。広告とフェイクニュースの境目って何なのだろう。広告制作者にとって、それは永遠に逃れられない課題である筈だ。(蔦文蔵)
広告とフェイクニュース

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