詰将棋とミステリ

蔦文蔵's EYE

 将棋というゲームの面白さは、先の局面を読むことである。未来を推理する面白さだ。そして、その局面を読む行為を徹底して行うのが詰将棋だ。どうしたら王将を詰ますことが出来るのか、一手目をこう指すと…相手はこう来るから…、ならばこう指す…、頭の中を未来の局面(盤面)が駆け巡る。藤井聡太竜王・名人は、2025年の詰将棋解答選手権で、39手詰以内の問題10問を121分で全問正解し優勝した。彼の頭の中では駒の動くスピードが想像を絶する速さなのだろう。私の本棚の隅には、「詰将棋の創り方」という本があるが、刑事が推理で犯人を一歩一歩追い詰めていく過程と、数手先まで考えて王将を追いつめていく詰将棋に類似点はないだろうか、そんな思いで手にしてみたのだが、詰将棋作家にはミステリ小説に深い造詣を持つ方もいるようだ。著名な詰将棋作家である京大名誉教授の若島正氏は、その著書「乱視読者の帰還」で、2002年に第2回本格ミステリ大賞の評論・研究部門賞を受賞している。(蔦文蔵)

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